EDIST. +one
大人女性の美容と健康を保つ良質な睡眠のとり方を、東京西川のスリープマスター・速水美智子さんに教えていただく特集・後編。
前編では、ベッドへ入る前に準備しておきたいことや寝室環境の整え方を教えてもらいましたが、今回の後編では、より睡眠の質と密接な関係にある寝具の選び方をご紹介します。
東京西川(西川産業)営業統括本部 営業戦略部
速水美智子(はやみ みちこ)さん
東京西川、日本睡眠科学研究所認定のスリープマスター。寝具を選ぶ上でのコンサルティングや、良質な睡眠環境にまつわるアドバイスを行うなど、睡眠のプロフェッショナルとして活躍している。
起きたときに首や肩、腰が痛いと感じることはありませんか?それは、もしかしたら寝具が自分の体に合っていないのかも…。速水さんによれば、やはり寝具も睡眠の質を左右する重要なアイテムだといいます。
「寝具には大きく分けて『掛け布団』『マットレス』『枕』の3つがあります。快眠を得るためにはどれも大切なのですが、中でも一番手軽に取り入れられるのが枕です。枕を選ぶときに気を付けてほしいのが、首のS字カーブをきちんと埋めてくれる高さの物を選ぶということ。
低すぎると顎が上がり、口が開いていびきの原因になってしまいますし、高すぎると今度は顎が下がって気道をふさいでしまうので、やはりいびきをかきやすくなるほか、首にしわができやすくなってしまいます。また、合わない枕を使い続けると、肩こりや首の痛みにつながることも。首のカーブは人によって異なりますので、自分に合った高さを把握しておくことが大切です。逆に、高ささえ合っていれば、素材や固さはお好みの物を選んでいただいて大丈夫です」
東京西川の寝具ブランド「&Free」のオーダー枕は、首の高さを測定して枕のカルテを作成。
その結果を基に、最適な寝心地の枕を仕立てることができます
そして、枕と同じくらい重要なのがマットレス。見落としがちなアイテムですが、その理由を速水さんは次のように語ります。
「真っ直ぐに立ったとき、人の背骨はゆるやかなS字カーブを描いています。理想的な寝姿勢というのは、それを横に90°倒した状態。なので、マットレスも枕の場合と同様、体の凹凸にしっかりフィットし、その姿勢を支えてくれることが大切です。
というのも、人間の体は腰の部分が一番重いため、やわらかすぎるマットレスだと腰の部分が沈んで『く』の字に寝ることになってしまうんです。かといって、硬すぎる物だと凹凸にフィットせず、体が痛くなってしまいます。理想的な寝姿勢を保つためには、できれば枕とマットレスをセットで考えていただけたらと思います」
速水さんがおすすめする、&Freeの「マットレスSA」。
体圧を分散させてボディラインにフィットする凹凸構造は、体の負担を軽減してくれます。
普段、何気なく使っている掛け布団も、心地良い目覚めに一役買っているそう。まずはその役割を教えていただきました。
「布団の中の温度や湿度のことを『寝床内気象』というのですが、日本睡眠科学研究所が実験した結果、温度は32~34℃、湿度は45~55%だと心地良く眠れるとされています。この数値は、年間を通して変わりません。また、人間は寝ているあいだも体温が変化していて、朝方に体温が上がることで目覚めやすくなります。体温調整をスムーズに行うためにも、掛け布団はしっかり掛けていただくのが大切です」
掛け布団の詰め物には羽毛や綿、合成繊維などさまざまありますが、東京西川といえば羽毛布団が有名です。羽毛にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
「羽毛の最大の特長は、軽くて温かいことです。羽毛布団は冬に使う物というイメージがあるかもしれませんが、水鳥の羽は温度コントロールに優れていて湿気を溜め込まないので、春や秋口でも快適に眠れるんですよ。最近は、当社でも通常のシングルサイズである1.2kgのほか、羽毛の量を抑えた0.3kg、0.8kgという薄手のタイプもご用意していますので、季節や住宅環境によって組み合わせてお使いいただくのもおすすめです」
眠りに対する意識は以前よりも高まっていると速水さん。そんな中、東京西川では、2017年に「ねむりの相談所®」という新しいサービスを始めました。
「『ねむりの相談所®』は、眠りを可視化することで睡眠に関する悩みや疑問を解決していこうということで始めたサービスです。私たちは毎日当たり前のように眠りますが、自分がどのように寝ているかはわからないですよね? そこで、相談に来られたお客様には、店舗でのカウンセリングの後、専用の計測機器をお渡しし、1〜2週間ご自宅でお客様自身の睡眠を測定していただきます。
睡眠を測定するための活動量計
2018年の春からは新たに『寝室チェックシステム』も導入し、専用のセンサーで寝室の環境を計測するサービスも始めました。これらの結果を基に、スリープマスターがお客様一人ひとりに適した理想の睡眠環境のアドバイスを行います」
店舗で貸し出されるセンサを枕元に設置し、3~5日間使用します。
測定した寝室環境のデータを「寝室チェックシステム」を用いて解析。
グラフによってひと目で状況を把握できるほか、測定結果に応じた最適な寝具を提案してくれます。
睡眠環境の測定では、日中の「運動量」や睡眠時の「姿勢」「寝返り回数」「時間」などが、寝室チェックシステムでは、寝室の「温度」「湿度」「明るさ」「音」などを可視化できるとのこと。
「『睡眠負債』という言葉が流行したことにも現れていると思うのですが、今の時代、十分な睡眠時間がとれない、たっぷり寝たのに疲れがとれないなど、眠りに関するお悩みを抱えている人が非常に多いと思います。『ねむりの相談所®』では、そうしたお悩みを解決するためのさまざまツールがそろっていますので、気軽に相談にお越しいただければと思います」
「ねむりの相談所」は開設以来人気が高く、事前に予約をしてからの来店がおすすめ。▶︎店舗一覧
仕事に育児に、日々を忙しく過ごしている女性が睡眠にあてられる時間は限られています。だからこそ質の良い睡眠をとって、毎日を清々しく過ごしたいもの。
今回いただいたアドバイスを踏まえて、ご自身の睡眠環境を今一度見直してみてはいかがでしょうか?
Text:EDIST.+one編集部
取材・文/EDIST. +one編集部
画像出典:EDIST. CLOSET
まだデータがありません。